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わかめで髪は増えるの?髪の三大栄養素で捉える「わかめの力」

わかめ

誰しも「わかめを食べると髪が増える」という噂を耳にしたことがあると思います。わかめのヌルヌルとした手触りや艶やかな色味は、確かにダイレクトに髪に効くような印象を抱かせます。では、実際のところ「わかめ」には発毛力に働きかけるような強力な作業があるのでしょうか?

あるいはただの噂であり、わかめを食しても髪に良いことはないのでしょうか?わかめに含まれている成分を「髪の三大栄養素」という観点で分析し、毛髪への影響について考えてみたいと思います。


「わかめを食べると髪が増える」と言い切れる根拠は薄い…

わかめスープ

結論から申し上げますと、「わかめを食べたら髪が増える」という科学的な根拠はございません。わかめには髪の三大栄養素と言われる「タンパク質」、「ビタミン類」、「亜鉛」などがある程度うまく網羅されていますが、髪が増えると言い切れるほどの強力なエビデンスまではございません。


「わかめ」に含まれる髪に良い栄養素の量

念のため、文部科学省が公表している食品成分表のデータベースより、「カットわかめ」で髪に良いとされる成分量を確認してみましょう。


カットわかめ100g当たりに含まれる髪の三大栄養素の量

タンパク質 18.0g
ビタミンA(カロテン) β-カロテン当量 1,800µg
レチノール活性当量 150µg
ビタミンK 1,600µg
ビタミンB1 0.05µg
ビタミンB2 0.07µg
ビオチン 28.0µg
亜鉛 2.88mg
アルギニン酸 860mg

※µg(マイクログラム)は、100万分の1グラムを意味します。

文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

「カットわかめ」なのか「塩蔵わかめ」なのかで各栄養素の成分量も異なってきますが、わかめにはある程度髪にとって良い栄養素が含まれていることがわかります。


ヌルヌル成分の「アルギニン酸」は髪に良い?

上記の成分表で最下部に表示している「アルギニン酸」はわかめを象徴するヌルヌル成分の正体です。これはアミノ酸の一つであり、髪の成分「ケラチン」を合成する際に必要な栄養素となります。ケラチンは18種類のアミノ酸から作られるものなので、「アルギニン酸」が多く含まれているわかめは髪にとって良い食品ということが言えるでしょう。

また、「アルギニン酸」には高血圧を予防したり血中コレステロールを下げるという働きもあります。血液がサラサラになれば頭皮上の毛細血管も活性化しますので、髪への栄養供給が促されやすくなります。このように見ると、わかめは確かに髪にとってありがたい食品であることに違いはありません。

それでも、「わかめを食べれば髪が増える!」と言い切れるものではなく、あくまでも髪を作るための土台を構成しやすくなるというレベルです。


「髪にとって良い食品の一つ」という位置づけで理解しよう!

データから見てもわかる通り、わかめには髪にとって良い栄養素がある程度バランスよく含まれています。直接的に「発毛への刺激」をもたらすものではなく、あくまでも髪を作るためのベースをなすものですので、お食事の際にうまく取り入れるようにするのが正しい付き合い方と言えるでしょう。


わかめはサラダやスープに入れると摂取しやすい

わかめは、意識していないとあまり食卓に上らない食材かもしれません。お肉やお魚のように食べたくなるタイミングがあるわけではないので、一人暮らしの男性のようなケースでは見逃しがちになっていると思われます。特に「男性型脱毛症(AGA)」のような薄毛お悩みをお持ちの男性にとっては、やはり一定程度価値ある食材と言えますので、少し意識して食卓に加えてみるのが得策です。

わかめを使った料理というとイメージが湧きにくいかもしれませんが、「海藻サラダ」や「みそ汁」などのスープ類に加えれば摂取しやすいものとなります。このような形で日常的に摂り入れてみると良いのではないでしょうか。

カットわかめ(乾燥わかめ)の調理ポイント

  • サラダに入れる場合…ぬるま湯に数分つけて戻してから使用
  • みそ汁やスープに入れる場合…そのまま汁の中に投入
    ※乾燥わかめは水に戻すと8倍から10倍に増えます

塩漬けされている「塩蔵わかめ」を使う場合は、わかめに付いた塩を水で洗い流します。塩を落とす過程で概ね戻りますが、必要に応じて浸水させて食感を調整するのが基本です。

塩蔵わかめの調理ポイント

  • 1. わかめを適量ボールなどに入れて2、3度水で洗う
  • 2. 両手でわかめをしっかりと絞る(わかめに付いた水を取り除く)
  • 3. この段階でほぼ戻っていますが、戻り足りないと感じる場合は5分ほど水に浸す

※水に浸す時間を長くし過ぎると食感が失われるので注意しましょう


髪の栄養については「髪の三大栄養素」を意識しよう!

髪の三大栄養素

既に少し触れましたが、髪に良いとされる栄養素は髪の三大栄養素と言われる「タンパク質」と「ビタミン」と「亜鉛」です。髪は「ケラチン」と呼ばれるタンパク質でできており、このケラチンを合成するためには18種類のアミノ酸が必要になります。

タンパク質を摂取すると、これ以上分解できないレベルのアミノ酸に分解され、これが再合成されてケラチンができあがります。このようなことから、まず基本となる「タンパク質」をしっかりと摂取することが重要だと言えます。


タンパク質は動物性と植物性の両方をバランスよく摂取しよう!

タンパク質は、肉・魚・卵・乳製品などに含まれる「動物性タンパク質」と、大豆・納豆・豆腐などに含まれる「植物性タンパク質」とに分けて考えることができます。「動物性タンパク質」は、人が体内で合成することのできない「必須アミノ酸」をバランス良く含んでいることが特徴です。

このため、効率よく必須アミノ酸を摂取するには肉や魚や卵類を摂るのが手っ取り早いわけですが、これらには余分な脂肪も含まれているという特徴があります。

一方の「植物性タンパク質」については、たくさん摂取しても脂肪になりにくいという特徴があるものの、動物性タンパク質ほど効率的にアミノ酸を摂り込めないという特徴もあります。このようなことから、どちらを重点的に摂るというよりも両者をバランスよく摂取していくことが大切だとまとめることができます。


ビタミン類の役割

ビタミンが頭皮環境や髪にもたらす役割は実に様々です。代表的なところで言えば、「ビタミンB群(B1、B2、B6、B12など)」が特に髪に良いとされており、髪の成長に関わる毛母細胞の分裂をサポートしたり、タンパク質を効率よく分解してアミノ酸を吸収することにも貢献します(ケラチンを作りやすくするという意味で重要です)。

ビタミンEは血流の促進や血管の保護に貢献し、ビタミンAは皮膚粘膜を丈夫にしたり頭皮の乾燥を防ぐことにも貢献します。各ビタミンによって作用は異なりますが、概してビタミン類には髪の成長や頭皮環境にプラスに働くものが多く含まれています。


亜鉛が髪にもたらす役割

亜鉛は、アミノ酸を再合成してケラチンを作る際に役に立ちます。亜鉛が不足しているとタンパク質がたくさん摂取されていてもケラチンを合成しにくくなってしまいますので、髪の成長が促されにくくなります。食材としては、以下のようなものに含まれており、意識していなければ不足しがちになる点で注意を要します。

当コラムでご紹介している「わかめ」も不足しがちな亜鉛を補うという意味で有効な食材ですので、うまく食卓にお取り入れください。

亜鉛が多く含まれている食材

生牡蠣、チーズ、牛モモ肉、レバー、煮干し、たらこ、わかめ、海苔などの海藻類


薄毛や抜け毛の抜本的な解決は、医学的に有効な治療薬で!

治療薬

当コラムでは、「わかめ」に焦点を当てて発毛作用に対する有効性を探ってみました。実際に薄毛お悩みをお持ちの患者さまに関しては、食事バランスで栄養が偏っているというよりも「遺伝的な要因」で薄毛化が進行している場合が少なくありません。

特に男性型脱毛症(AGA)の患者さまに関しては、食生活や運動習慣などを取り入れてもなかなか薄毛のお悩みが解消されていかないというのが大半です。このような場合には、医学的に有効な治療薬がございますので、なるべくお早めに専門医までご相談いただくことが大切です。


「無料カウンセリング」でお待ちしております

当院では、薄毛や抜け毛のお悩みをお持ちの患者さまに対して、随時「無料カウンセリング」を実施しています。「男性型脱毛症(AGA)」や「女性男性型脱毛症(FAGA)」に加え、円形脱毛症などのご相談にも応じますので、お気軽にご活用いただければと思います。スタッフ一同、皆さまのご相談をお待ちしております。